Documents


お酒が弱いのである。どれぐらい弱いかというとウィスキーボンボンを食べると仄かに顔が赤くなり、養命酒を適量飲むと酔っ払うぐらいである。ジョッキー一杯のビールで泥酔しほぼ帰宅が困難になる。電車の中では疲労困憊した数多くの通勤帰りの人々に醜態を晒すことになる。そんなわけでお酒は殆ど飲むことがない。お酒を飲むと降車する駅を通り過ぎ終点まで行った挙げ句に上り電車に乗ってもう一度降車を試みるが、また通り過ぎてしまう。降車した駅でひといきつき、今度こそはと電車に乗るが私の様子をみた乗客が席を譲ってくれたお陰でまた終点でまで行ってしまう始末だ。
いつだか忘れてしまったがピンサロの待合室で起こされたことがある。「お客さん、次ですよ」と言われて案内されそうになったところで、こんなところに来た覚えはないといってお店を出てきたことがある。あるときには、結婚して3人の子供がいて、長男は高校生だというのに、酔っ払って帰宅した先が私の大学時代の一人暮らしのアパートだった。ポケットから鍵を出して鍵が開かないということで数分間試行錯誤した後に、ここは私の家ではない、いや、かつては私の家であったはずだが、もう20年前の話しであるといったことにぼんやり気が付き再び「本当の私の家」を目指すといった感じである。
ときどきむかし付き合っていた彼女の家にも行きそうになる。だがこれは寸前のところで正気に戻るのでまだ痛恨のミスを犯したことはない。
お酒の酔い方というのは異常である。マリファナのふんわりとした感じの方がよっぽど人間的でナチュラルだ。



2022.05.30