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アートビデオ、あるいはアートビデオSM/妄想族


SM Pediaによると比較的古い会社で昭和の会社である。僕自身少年時代から大好きなジャンルで、アートビデオに始まって今でもアートビデオが大好きである。アートビデオの作品は実際問題どれを見ても同じという水戸黄門的な作りになっている。しかしそのクリシェはアートビデオ自身が作ったものなので完全オリジナルと言っても過言ではないのである。(と、少なくとも私はそう思っているし、そう信じている。)中でも「猟奇の檻」シリーズと「爆イキ」シリーズは非常にお勧めである。また肛門ばかり責める「肛刑」などという謎の言葉などがタイトルにつけられたりしてなかなか創造的なのである。ずっと見ていると何故か笑いがこみ上げてくるほど面白い。シリアスなSM的な絵エロスを追求している反面、バカバカしさの極地みたいなところを追求しているのかもしれない。いわゆる人肌と赤と黒のデザインもSMジャンルのクリシェを正当に踏襲していてすごくよい。ブレがないのである。昭和から平成のビデオ時代に全盛期をむかえた企画会社なので昔の作品はビデオ的な解像度の粗さがあり味わい深い。平成以降のDVDも映像のクオリティーが上がっただけで中身は殆ど同じで全く同じコンセプトを貫いている。

アートビデオ作品には度々同じ道具が使われている。そのような道具が市販されいてるわけもないので、おそらく独自生産しているのである。こういうこだわりが非常によい。スケベな道具を自分たちでつくるなんてとても職人的だ。拘束器具は竹で組まれてあったり、お手製の木製の壁であったり、建設用の単管で組まれていたりするのである。撮影のスタジオもどこにあるのかはわからないが、なかなかよいこだわりである。ある作品の中には私の知っているスタジオが出てきたこともある。SMの撮影では比較的有名な場所でアートビデオに関わらず様々なSM関連の撮影で使われている場所だ。(なんとそれは閑静な住宅街の一角にある。声が漏れないのか心配になるが本気の叫び声でも比較的大丈夫っぽい。)
やっていることは、典型的なSMプレイだが、この種のプレイは当時昭和後期としては非常に過激で過激プレイの草分け的なレーベルでもあった。たいていの場合、最初に女優さんへのインタビューがある。この形式も私が最も好きなセチュエーションである。これからむちゃくちゃにされる女性が普通にインタビューに答えていてしかも比較的恥ずかしそうで照れているのである。このあたりのレベルの撮影になると、お金目的のAV出演とか女優になるための修行とか少々セックスが好きであるという女性を超えて、完全に変態プレイに目を輝かせている女性達が撮影に望むというところが非常によいのである。インフォームド&コンセントと言うべきだろうか。女優さんたちは何をされるのかはっきりわかっているし、それを期待しているというわけである。

私自身がアートビデオが好きな理由のひとつに容赦ないわりには暴力的ではないところにある。演出というかコンセプトの光るところがここにある。むちゃくちゃセックスするが本来的にはSMではないというところがよい。基本的には快楽が目的であるというところが非常によい。ジョルジュ・バタイユのように快楽と死が漸近するような呪われた感じがしない。全体として優しいのである。そしてよく見ていると非常にコミカルですらある。
「レズビアンコレクター3」ではもはや最初から最後まで何をやっているのかわからない。例えばアメリカのポルノにあるような平和そうな明るい部屋で「あっはーん」的な普通のセックスを繰り広げているような光景ではない。もはやこれは遊園地のアトラクションなのではないかというぐらい何かしらアクロバティックな設備の中で順序よく行われてゆくのである。これは非常におもしろい。なぜだか途中から男性が(男優が)お手伝いに来た!といったような雰囲気すらある。
このジャンルが日本変態史において草分け的な存在だったと共に、このジャンルはジャパンオリジナルであるというのが非常に感動的なところである。海外のアダルト産業ではこういったコアなジャンルはあまり存在しない。(ドイツや北欧の一部では似たようなものが見られるかもしれないが基本的に質が違う) アートビデオの作品は海外の人々が見ると度肝を抜かれる。海外でのSMプレイはもっと形式的なものであり(おそらく西洋産のSMがその本質に近いのかもしれないが)スパンキングやその他のプレイに多様性が殆どない。そもそも海外では潮吹きがまだまだ一般人には浸透してないという事実がある。私が特に驚いたのは発展途上国の人々、または宗教上こういったスケベなコンテンツを自由に閲覧できないといった国の人々の反応であった。彼等は原始人がはじめてテレビw見たときのような表情でこれらの映像を眺めるのだ。日本人の変態達にとってもはや伝統的とも言えるようなこれらのコンテンツはまだまだこの地球上では非常に新しいのだ。

ここ最近の新作は「アートビデオSM/妄想族」というレーベルになっている。現在も続々と新作が生産されているのである。

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2022.04.21